マンションスケルトンリフォーム リノベーション事例 A宅の設計監理 その2

天井は低過ぎたのか−部屋の真ん中の梁はどうする?

 食堂からキッチンかけては 一方の壁面を全部造り付け家具による収納スペースとしました

 キッチンは その壁面収納と高さ1.4メートルの造り付け家具で囲われたブース状のスペースとなって この一室空間の中にあまり自己主張することなく存在しています

 このキッチンと食堂との間の天井には 鉄筋コンクリート製の梁があるのを利用して高さ1.9メートルという低い天井をつくりました
 この低い天井の幅は1.1メートルあります 無論鉄筋コンクリート製の梁の幅よりははるかに広く したがってここは天井といえる存在となり 梁ではなくなりました

 一般的に 室内の天井に突出する梁形となるといかにも貧弱で美しさに欠けるものが このような面状の天井という表情になると それ相応の雰囲気をインテリア空間に与えてくれるのは不思議なことです

 ここでは この低い天井は一室空間の食堂とキッチンを感覚的に分ける働きもしています
 また実際の梁幅以外の部分は 高い天井の下に浮いた形となって その中に設置された照明が高い天井部分を明るく照らし出しています
 この低い天井部分は居間スペースまで延びて この低い天井と対の位置になる窓側にもつくられた低い天井と共に リビング 食堂にふさわしいインテリア空間の重要な構成要素となっています

 この1.9メートルの高さという低い天井の下地がいよいよ現場にでき始めた時 住み手が 本来の梁部分はいたしかたないとしても低い部分をあえて広くつくることはないのではないか と言いだして工事が一時中断してしまいました
 建築家の口の筋肉が痙攣を起こすほど一生懸命おこなった説明の末 この下り天井は計画通り実現し 結果は 建築家はもちろん住み手も十分満足ということになりました

 このお話から貴方が得る教訓は
 プロがむきになって主張することには何か重要な意味があるはずなのでその意見を尊重した方が良い
 ただし貴方も十分な説明をしつっこく求める必要がある 
 それでもプロが自説を曲げないような事柄は 彼が非常に重要と思っていてしかもそれに自信を持っている事柄だ ということです
 彼が簡単に自説を引込めるような事柄はたいしたことではないのです
 要するに住み手も建築家も十分にしつっこい方が意味のあるインテリア空間の生まれる可能性が高い というお話です

明るいキッチンに変身

 この住まいのキッチンは 高さ1.4メートルの造り付け家具で出来ているのですが この1.4メートルという高さは 一室空間の中にあるキッチンをほどよく囲い しかもキッチンもリビング 食堂と同じ大きな空間の広がりの中に確かに存在させる という働きをしています

 このため ここには通常のキッチンに見られるような ワークトップの上の吊戸棚をつくらず それに替わるべき収納スペースは ワークユニットの反対側に 中間にカウンターを持ち食堂まで続く壁面収納をつくることで確保しています

 ワークトップの開口の長さは シンク 調理台 レンジ 盛付台と流れる調理のことを考えれば たっぷりと確保するのに越したことはないのですが この住まいでは この寸法が2.7メートルと少なめなので それを補うため80センチ近い奥行寸法を持つワークトップとしています

 この調理台の下部には 収納スペースが造り付け家具としてつくられているのですが 実はこの調理台の裏面には同じ造り付け家具として一体化された収納スペースもつくられていて 奥行きをそれぞれの収納物に合せた寸法とした収納スペースが 両側からお互いに無駄のないようにきめ細かく設計されています

 そのようなわけで この表裏一体形の造り付け家具の奥行き寸法は1メートル35センチであるにもかかわらず 80センチのワークトップも そしてその裏面からはふとんを収納するスペースとして奥行き65センチの部分もできることになりました

 キッチンから食堂に続くカウンターは その下部と上部に充分なスペースを持ち 調理から食事 そして生活全般に必要なモノを合理的に収納します

  居間も同じですが このキッチンには天井に照明器具がありません
 低い天井と高い天井との間に設けた照明により 明るく照らし出された天井面からの柔らかい光が部屋全体を包みます 直接光が目に入らないようなワークトップの上を照らす照明が 白いトップに反射してキッチン全体を明るく浮かび上がらせています

 通例のマンションによく見られる低目の天井高のインテリア空間では 天井に照明器具を設けて床面を照らし出すよりも むしろ逆に天井面を照らして明るく浮かび上がらせ 部屋全体に柔らかな光を漲らせた方が 広さの感覚に繋がるようです

間取り設計は1センチ単位の攻防戦

 第一期工事のリビング 食堂 キッチンが完成すると 引き続き第二期工事です

 従来の寝室 子供室 玄関スペースは 間仕切りを含めて内装を全部取り去り 新しい計画のもとに再構築されたのですが もともとがさして広くもないスペースでは 一つを増やせば一つが減るという繰り返しで 寝室 子供室の間の間仕切り壁位置は1センチ単位の攻防戦となりました

 絶対面積が決まってる以上 やるべきことは モノをいかにスペースの無駄なく整理収納するか ということになります 寝室と子供室の間仕切り壁は 両側からそれぞれ使用する衣類収納の造り付け家具とし 両室共ベッドとその回りを除くスペースは 非常事態だ エイヤッとばかりに天井を1メートル90センチまで低くして コンクリートスラブ下との間に出来た貴重な高さ40センチあまりの空間を 毛布やふとんあるいは衣類の収納スペースとしています−但しその部屋の平均天井高は2メートル10センチを確認します 建築基準法を順法という理由です−

 この下り天井は 居間 食堂につくった低い天井とは目的も性質もまったく異なったもので
 「日常の生活の場であるL・D・Kを一室としてできる限り広く快適なスペースとする そのために個室が寝るためだけのスペースとなることも已むを得ない これらの割り切った生活の姿に合せて 住居の隅々まで 無駄な空間が生じないように合理的な収納スペースを入念に計画する」

 という精神でつくられたものです
 割り切りの空間 運用の工夫 ということでしょうか
 もっとも現実はやはり狭く 毎日の生活に息が詰まることにもなりかねないのではないか
 と建築家は無責任にも心配しているのですが 明るい広々としたリビング 食堂 キッチンの空間にある住人の顔はこの上なく明るく輝いていて 建築家はホッとして帰ってくるのです

 玄関は 廊下状の片側を全部壁面収納とし ここには下足から コート 衣類 ゴルフバッグにテニスラケットと いろいろなモノが無駄なく収まっています

 床 壁 天井の仕上げは リビング 食堂と同じ ということはこの住まい全部が同じ仕上げということになるのですが
 これは この住まい全体を少しでも広い感覚のスペースにしよう というための住宅設計事務所建築家木村俊介の基本的なデザインテクニックの一つなのです

 玄関の一方の壁と 扉を入って真正面突当りは壁面で ここには小さな絵が掛けられ 機能一点張りの空間をピリリと引き締めています

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